北海道文学散歩

北海道を中心に文学にまつわるエピソードや物語の舞台をめぐる。

Tuesday, February 27, 2007

新誌・水滸伝

 谷恒生著『◎新誌・水滸伝◎群生、梁山泊に翔ける』 
河出書房新社1998.3.25初版発行
2007.2.26 読了
 宣和2年(1120)北宋8代目にあたる徽宗皇帝の御世。首都の不夜城・開封は巨大な宝石箱をひっくり返したような、眩いばかりの繁栄と喧騒に彩られていた。

 徽宗皇帝のそばに侍る、開封第1の娼妃・彗妃が語る中国版「千夜一夜物語」の趣きがある。
徽宗の求めに応じて、彗妃が語り聞かせるのは、時代からも、社会の規範からもはみ出してしまった108人の魔性の人たちの綾なす、ファンタジー。

魯智深(ろ・ちしん)・林冲(りん・ちゅう)・宋江(そう・こう)などなど、好漢たちのすさまじいばかりの世直しの活躍を、中国風に誇大かつ爽快に描いている。

 日本で水滸伝といえば、やはり吉川英治の「新・水滸伝」を思い出す人が多いことだろう。
水滸伝のストーリーは中国古典に準じながら、彗妃を登場させたところに新機軸があって興味深い。

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